Guide
立候補までのリアルガイド
「聞きにくいこと」をまとめました。かかるお金、必要な書類、失うもの。 いいことばかりではないので、負担のほうも先に書きます。
①何歳から、どこで出られるか
| 選挙 | 年齢 | 住所の要件 |
|---|---|---|
| 市区町村議会議員 | 満25歳以上 | その市区町村に引き続き3か月以上住んでいること |
| 都道府県議会議員 | 満25歳以上 | その都道府県内に引き続き3か月以上住んでいること |
| 市区町村長 | 満25歳以上 | なし |
| 都道府県知事 | 満30歳以上 | なし |
日本国民であることが前提です。議員には住所の要件がありますが、首長にはありません。 引っ越して間もない場合は、投票日ではなく立候補の時点で3か月を満たしているかを選挙管理委員会に確認してください。
②供託金と、返ってくる条件
立候補するときに法務局へ預けるお金です。一定の票を取れば全額返ってきます。取れなければ没収されます。
| 選挙 | 供託金 |
|---|---|
| 町村議会議員 | 15万円 |
| 市議会議員(政令市以外) | 30万円 |
| 政令指定都市の議会議員 | 50万円 |
| 都道府県議会議員 | 60万円 |
| 町村長 | 50万円 |
| 市長(政令市以外) | 100万円 |
| 政令指定都市の長 | 240万円 |
| 都道府県知事 | 300万円 |
没収される基準
議会議員の選挙は、有効投票の総数 ÷ 議員定数 ÷ 10 に届かないと没収されます。
首長の選挙は、有効投票総数の10分の1に届かないと没収されます。
たとえば有効投票が12,000票・定数20人の市議選なら、12,000 ÷ 20 ÷ 10 = 60票。 これを超えれば供託金は返ってきます。当選ラインよりはるかに低い水準です。
町村議会議員の供託金(15万円)は2020年12月に新しくできた制度です。それ以前の町村議選には供託金がありませんでした。 この改正と同時に、町村の選挙にも公費の負担(後述)が使えるようになっています。
③書類と手続きの流れ
- 立候補予定者説明会告示の1〜2か月前に選挙管理委員会が開きます。書類一式と手引きはここで配られます。ここに出ないと実務がかなり不利になります。日程は自治体の選管が公表します。
- 書類をそろえる候補者届出書、宣誓書、住民票(被選挙権の確認)、所属党派の証明書(無所属なら不要)、通称を使うなら認定の申請書など。必要書類は自治体で少しずつ違います。
- 事前審査告示前に選管が書類を点検してくれます。不備はここで直せます。任意ですが、受けておくのが普通です。
- 供託法務局にお金を預け、証明書をもらいます。届出のときに必要です。
- 立候補の届出告示日の当日に届け出ます。受付順で掲示板のポスター番号などが決まります。
- 選挙運動期間告示日から投票日の前日まで。市議・町村議の選挙は、この期間が5〜7日間と短いのが特徴です。
具体的な書類・日程は自治体ごとに違います。最終的にはお住まいの選挙管理委員会に直接確認してください。 聞くことは誰でもできますし、立候補を決める前でも相談に応じてもらえます。
④実際にかかるお金
供託金のほかに、活動の実費がかかります。金額は選挙の規模と本人のやり方で大きく変わるので、 「これだけかかる」と断言はできません。かかる費目だけ挙げます。
- 供託金(町村議15万円/市議30万円など。基準を超えれば返ってくる)
- ポスター・ビラ・名刺の印刷
- 選挙運動用の自動車(レンタル・燃料・運転手)
- 事務所(自宅を使う人もいます)
- ウグイス嬢・運動員への報酬(法律で人数と日額の上限が決まっています)
- 通信・印刷以外の雑費
公費で負担される部分があります
選挙運動用自動車の使用・ポスターの作成・ビラの作成は、条件を満たせば 自治体が費用を負担します(選挙公営)。2020年の法改正で町村の選挙にも広がりました。
ただし実施するかどうかと上限額は各自治体の条例で決まります。条例がない自治体では使えません。 また供託金が没収される票数だった場合は、公費の負担も受けられません。 自分の自治体に制度があるかは、選挙管理委員会に確認してください。
選挙運動に使える費用には法律で上限(法定選挙費用)があり、自治体の定数と有権者数で計算されます。 使った費用は選挙後に収支報告書として提出し、公開されます。
⑤仕事と家庭はどうなるか
仕事を辞める必要はあるか
地方議員は他の仕事との兼業が一律には禁止されていません。実際、会社員や自営業を続けながら務めている人がいます。
ただし、その自治体と請負の関係にある企業の経営者・役員などは制限があります(地方自治法)。 公務員は立候補した時点で職を辞したものとみなされます。自分の仕事が該当するかは事前に確認が必要です。
どのくらい時間を取られるか
定例会は多くの議会で年4回。これに臨時会、委員会、視察、地元の行事が加わります。 「会議の日だけ」では済まず、資料を読む時間と住民と話す時間がかなりの比重を占めます。
議員報酬の額は自治体ごとの条例で決まり、規模によって大きく違います。 生活を支えられる額かどうかは、必ず自分の自治体の条例で確認してください。
先に知っておいたほうがいいこと
- 落選という結果があります。供託金が戻る水準に届かないこともあります。
- 氏名・経歴・資産は公開されます。家族への影響も含めて考える必要があります。
- 選挙運動の期間は短く(市議・町村議で5〜7日)、準備は告示のずっと前から始まります。
- 当選しても、1人でできることには限りがあります。議会は合議の場です。
この記事の出どころ
供託金の額・没収の基準・被選挙権の年齢と住所要件・選挙公営の範囲は、公職選挙法および 総務省の公表資料に基づいています( 総務省「供託」、 総務省「選挙権と被選挙権」、 総務省「町村の選挙における公営の拡大と供託金制度の導入」)。 制度は改正されることがあります。手続きの詳細と期日は、必ずお住まいの自治体の選挙管理委員会でご確認ください。